城下町として栄えた金沢には、加賀百万石の時代より長い歴史を刻んできた伝統芸能が、今でも数多く伝承されています。中でも、金沢芸妓は、磨き抜かれた伝統芸と艶やかな着物姿、そして細やかな「おもてなしの心」で、高い評価を受けています。
その金沢芸妓の粋な芸を堪能できるのが金沢紳士の社交場として藩政期から今日までの伝統と格式を受け継ぎ、数々の名妓を育ててきたひがし・にし・主計町の三茶屋街です。今でも茶屋街には桟(さん)が細く間隔の狭い、木虫籠(キムスコ)と呼ばれる美しい出格子の古い町並みが残り、散策していると、どこからか三味線や太鼓の音が流れてきて、金沢ならではの粋な趣と風情を感じることができます。
ひがし茶屋街は、卯辰山麓を流れる浅野川右岸の東山界隈にあり、平成13年、茶屋街としては京都の祇園に次いで全国で二番目に国の「重要伝統的建造物群保存地区」の指定を受けています。主計町茶屋街は、浅野川大橋から中の橋まで、浅野川左岸に紅柄格子の家並みが続き、目の前に川が見えることから、通称「ながれ」と呼ばれてきました。にし茶屋街は、浅野川と並び称される犀川に架かる犀川大橋を渡り、少し歩いたところにあります。